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【インタビュー】歯科衛生士 鳥光美帆(とりみつみほ)

目次

どんな子供時代?
なぜ歯科衛生士に?
おじいちゃんおばあちゃんの介護も経験しました
歯医者嫌いでも、何もなくても、イヤでも、来てほしい
インタビュー後記

どんなお子さんでした?

子どもの頃は割とやんちゃで(笑)、女の子が好きなアニメよりウルトラマンとか仮面ライダー派でした。
虫を捕まえて外で遊ぶのが大好きな子供でした!

ご兄弟は?

3歳離れた弟がいます。

ご出身は?

千葉の市川です!昔は梨畑とか雑木林が多かったので、そこの中で遊んでいました。自宅の屋根に上って飛び降りて「やめなさい!」と言われても何回もやるような女の子でした。(笑)
池とか川に、すぐ入っていましたね。

医療の道に進もうと思ったキッカケは?

高校3年の進路決定時、自分が何になりたいかも分からない、どうしようかなと考えた時に、「資格があったら働ける、じゃあ何の資格があるかを調べよう。自分がやりたいのは、医療系か管理栄養士かな。」と思いました。

その際、栄養士は意外と理系だということに気づいてしまって(笑)・・・数学が苦手なので、じゃあより専門性を高めていけるなら歯科衛生士がいいな、と思って選びました。

そもそも、歯科衛生士の仕事はどのようなものですか?

そうなのですね。歯科衛生士学校では、どんなことを勉強するのですか?

歯のことがメインですが他にも分野がいっぱいあって・・・入学してビックリしたのは栄養学もあるし、解剖学もあるし、薬理学もある。
意外と全身の事を知らないといけない・・・口だけの事でいいと思っていたらそうではなくて、実は口腔内から全身の病気につながっていくので、全身の知識が必要です。

頭蓋骨の写真を見せられてここが何の骨か、ここから神経が出て、などいろいろ勉強しました!

研修はあるのですか?

あります。私は学校外研修で、歯科恐怖症や障害のある方を受け入れている歯科医院さんに行かせていただきました。

歯医者が怖くてどうしょうもない人に鎮静麻酔をして治療するケースや、脳性まひで自分の体がうまく動かせない人をユニットの上でクッション入れて、嚥下(えんげ:飲み込み)は大丈夫か?などのチェックをしながら治療する施設でした。

研修先としては、なかなかないパターンですよね?

はい。
衛生士学校の先生に「行ってみない?」と誘われて、「行けるなら是非」という感じで行きました。

尻込みしませんでしたか?

チャンスだな!!と受け止めました。
最初は毎日毎日「うわ~っ」という感じでしたが、そのうち「こういうのも歯科の領域なんだ・・」と思えるようになりました。

それではその後はすんなり歯科医院の現場へ?

実は、卒業後すぐ働き始めなかったのです。
今は歯科衛生士の国試(こくし:国家試験)を受けてから1~2週間で結果が出るそうですが、昔は合否が出るのに1か月掛かっていました。(国家試験は3月上旬実施)

試験に受かっているか受かっていないかが分からない状態で、就活する気になれず・・・当時、合否が分からなくても周りは働き始めていたのに、私にとってはそれが性に合わなかったので、、、、。(汗)

4月から歯医者で勤めた始めた友達にリサーチする一方、バイトで貯めたお金を使って、青春18きっぷで全国色んな所へ行ったり、バンド(ユニゾンスクエアガーデン)の追っかけしたり、島へダイビング行ったり、英語が喋れなくても海外へ行って・・1人でいつでもどこでも行っちゃうので。(笑)
家族に大丈夫?と言われても、大丈夫!と言って行っちゃいます。

行動派ですね!

半年間遊んで、お金がなくなり、友達の歯科医院の現場就労情報もゲットし、満を持して働き始めました。
最初に働いたところは、実は自分の昔からのかかりつけの歯科でした。

保育園~小学校~高校まで行っていた歯医者さんに「歯科衛生士になったんですけど、どうですか?」と逆オファーして面接してもらいました。
先生も「あ、ちゃんと衛生士なったんだ」とびっくりしていましたが(笑)次の日から働き始めました。

その歯医者さんには、歯周病認定の歯科衛生士さんがいて、基礎的なことや、患者さんに説明する時にこういう言い回しにすると分かりやすいじゃない?と教えてもらったことを今でも使わせていただいています。

急患がすごく多い歯医者さんで、予約と同じくらい急患が来てしまう。
他で断られて、そのまま来たという患者さんもいたり・・・。

何で断られるのでしょうか?

他院で患者さんが言ったことに対して、「出来ません!」と言われたから来たとか、子どもが痛いと言っているのにどこも診てくれないから来たとか・・・スタッフは大変でやることがいっぱいありました。
急患で来る=日々メンテナンスしていない、ということが多いです。

歯周病認定の先輩衛生士は、そんな患者さんをメンテナンスに一生懸命つなげていたのですごいなと思っていました。
急患が来た時には、先生が話している内容を聞いて「あ、これ出しておくべきだな」器具を先回りして準備していましたね。

そうやって社会人として必要な力が育まれたのですね。

いや、実はもっと以前に。
社会人に必要な下地を育てて頂いたのは、高校生の時だと思います。
部活が厳しくて(吹奏楽部)、先生が「社会に出しても恥ずかしくない人を育てる」ことを目標にやっていたのですごく厳しかったです。
上履きの並べ方ひとつで注意され、全体ミーティングするという世界でした。

上履きの並べ方?!

「1年生だから3年生に意見を言ってはいけない」でなくて、言うことをちゃんという、3年生も1年生に言われたことをフンと聞きいれないのではなく、ちゃんと直す。

先輩がやっていたら、後輩が「替わります!」と率先してやる。

先生が関西弁だったこともあり当時は怖かったですけれど、鍛えられましたね。

楽器は何やっていたのですか?

1年生の時はトランペットで、2年からファゴットとマーチングの時は打楽器をやっていました。
挨拶の仕方、制服の着方、髪型、そういうのを学びました。
部活をやりたくて来る子が多くレベルが高いので、朝も夜も残って練習していましたね。
そこでメンタルを鍛えてもらったので、タフになりましたね。

最初、思春期特有の恥ずかしい気持ちになることもあったのですが、定期演奏会で「恥ずかしがっていたらソロも吹けない、直さなきゃいけないから受付をやりなさい」と先生に振られました。
受付は、絶対に皆さんに挨拶しなきゃいけないじゃないですか。

あとは、演奏発表の場で司会をやって「どうやったら声が届きやすいのか」とか「どういう話し方をしなきゃいけないか」など叩き込んでいただきました。
先生とは今でもたまに、連絡を取り合います。

最初の歯科医院に勤めているときに、おじいちゃんおばあちゃんの介護が入って。

おじいちゃんおばあちゃんの介護について、聞かせてもらえますか?

おじいちゃんは、下咽頭(かいんとう)ガンで、つんく♂さんと同じ「気管切開」をして、食べ物が制限されていました。

気管切開したら、口から食べられるのですか?

食べられるのですが、とろみのあるものでないといけないとか、さめたものじゃないといけないなどの制限があります。
その時に摂食嚥下(せっしょくえんげ:噛んで飲み下すこと)を勉強しようと思って。

おばあちゃんは「多巣性運動ニューロパチー」という難病指定の病気になりました。
日に日に筋肉が弱くなって、最終的には多臓器不全を起こす病気です。
私達もその症状についていくのが必死で・・・昨日は歩けたのに今日は歩けない、昨日は座れたのに今日は起きていられない、という状況でした。

最初は家で生活をしていたので、夜トイレに一緒に行ったり、階段を一緒に上り下りしたり。
最後は、緩和ケア科の病院に入院しました。

病院は職場から近く、家族は一緒に寝泊まりしてよかったので、仕事が終わったら、家に帰って自分のことをして、病院に泊りに行って、朝家に行って、それから仕事に行くという生活をしていました。

お孫さんである鳥光さんが、率先して介護していたのですね?

家族の中では私が一番詳しいし、結構好きでやっていました。
一緒に住んでいたので「それくらいはやってあげたい」と思っていましたし。
今思えば、いい勉強をさせてもらったと思っています。

一方、「あの時、ああしていればよかったな」という反省もあります。
それを今臨床で生かしています。
2人とも最後まで看取りました、最期の瞬間までやり切った感じです。
でも自分も疲れていたのでしょうね、休憩という意味で1年お休みしました。

「具合悪い」とお風呂に入ったら、お湯から寒くてお湯から出られない、出ると北極にいる感じで、水分をとってもすぐ嘔吐して「ヤバい、何かこれ病気だ」と救急車で運ばれて。

何の病気だったのですか?

急性腎盂腎炎(きゅうせいじんうじんえん)です。膀胱炎を通り越した病気ですけが、そんなの当時は知らなくて。トイレを我慢していたので、それでなっちゃって。

頑張りすぎたのですね。

そうみたいです。
3~4か月の入院で、とにかく休んで治して、当院(なないろ歯科クリニック)にお世話になることになりました。

なないろ歯科クリニックに来て、どれくらいですか?

1年半くらいですね。手前味噌ですが、素晴らしい歯科医院です!

上から目線で大変恐縮な質問なのですが、今いらっしゃっている患者さんたちを歯科衛生士として評価してみて頂けませんか?

当院の患者様たちの素晴らしいところは、何かあると大小に関わらず、すぐに来てくれるところ、そのままにしないで「診せ」に来てくれるところです。
私達も歯のメンテナンスしているときに「何かあったら来てくださいね」と言いますが、本当にちゃんと来てくださいます。

小さいことだとなかなか都度歯科医院へ行きづらいのですが、来ていいのですね?

いいのです!
治療するところが小さければ、数回の来院で済みますので。
例えば、詰めたものが欠けた、歯ぐきから血が出るとか、子どもが痛がっている、転んだ、仮のフタが取れちゃったとか。

当院の患者様にとっての今後の課題は、『緊急で来院される方々』何かあった時にだけに来る「トラブル型」と呼ばれますが、その方を「予防型」に誘導していくことだと思っています。

歯医者さんに来るキッカケは「トラブル型」と「予防型」があって、「予防型」は残る歯の本数も圧倒的に多いというデータが出ているので、それをメンテナンス処置をしながら個々で伝えています。

人間ドックと一緒で、何もなくても来てほしいです。

「何もない時に来ても、意味ないじゃん」と思いますが、やることはあるのですか?

あります、もちろんです。
歯のお掃除ももちろんしますし、虫歯の早期発見が出来ます。
早く見つかれば、例えば、保険で白い詰め物が出来るのです。
気付かないで何年も経ったら、神経を取らなきゃいけない、かぶせ物の銀歯になっちゃうかもしれないというリスクもある。
しっかり来てもらっていれば、「ココ、危ない気をつけなきゃいけない」と管理することが出来る。

この前まで痛かったけど、今痛くないからいいやというのは根本的な解決になっていないから来てほしいです。見逃さないようにちゃんと見るので、拡大鏡を掛けてメッチャ見るので!!

そういうことを、患者さんにお話しするのですか?

はい、自分の担当になった方には「必ず来てください」とお話ししています。

伝わっていますか?

私の体感としては伝わっていると思います、特に小児は。
親御さんは自分の子供を虫歯にしたくないと思っているので、月1回、間が空いても3か月くらいで来てくださいます。
子ども自身も「歯ぐき、痛くなくなったよ!」と変化を感じられているようで嬉しいです。

将来どうなりたいですか?

何をするにも頑張りすぎるので、最近は周りがストップ掛けてくれます。(笑)
当院ではしっかりと長く勤めてキャリアを積んでいきたいですね。
最近は早寝早起きで、健康なのでご安心ください!(笑)

同じことを話すにも、相手がクスッと笑ってしまうような言い回しにして印象深く且つ場を和ませることの天才だなあ、と感服していました。そして全てにおいて全力投球!な鳥光さん、どうぞご自身をいたわりつつ、松戸の皆さんをよろしくお願いします!



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