麻酔の認定医が来ていることで、安心安全につながれば嬉しいです

なないろ歯科クリニックで麻酔を担当されるとのことですが、どんな麻酔が出来るのですか？

「静脈内鎮静法（じょうみゃくないちんせいほう）」という麻酔をやります。
インプラントをやっている間、寝ていられる麻酔ですね。

そもそも、歯科の中の麻酔科医って少ないって聞いたんですけれど。

そうですね。
日本歯科麻酔学会という学会があるのですが、認定医って少ないですね。
実は最初は、口腔外科を2年やって、それから麻酔科に行きました。
医科で麻酔医をやっていた時もあります。

そうなんですね！インプラントは「怖い」というイメージがあるのですが、そういう場合に有効なのでしょうか？

そうですね、寝て覚めたら終わっている、という感じです。
夢うつつな感じ、寝かせることは出来ます。
インプラントの手術は、どなたでも緊張します。
緊張すると心拍数が上がります。
静脈内鎮静法をしてリラックスするだけでも、血圧や脈拍が安定します。

静脈内鎮静法は、歯科医師がやってもいいんですか？

はい、いいんですが、日本歯科麻酔学会認定医ですのでさらに安心していただけると思います。

インプラントの手術の際、麻酔医と歯科医の2人で挑むメリットはありますか？

1人でも出来るのですが、麻酔医が加わることで歯科医はインプラント手術に集中できる、さらに出来る限り早く終わらせることができる、その２つがメリットでしょうか。

静脈内鎮静法は、使う麻酔の薬によってアレルギーが関係あったりするのですか？

牛乳・卵アレルギーの方でも、ミタゾラムという薬剤を使用して対応するので、静脈内鎮静法が可能です。

そうなんですね、それは心強い。ちなみに、七條先生とはどれくらいのお付き合いなのですか？

年間に20～30症例一緒にやっていて、相棒のような感じです。
実は大学1年の時から一緒で、まあ腐れ縁、ですかね。（笑）

今、興味あることは？

遺伝子検査に興味あります。
依存性薬物の教室に週1で行ってます。
（東京都医学総合研究所　精神行動医学研究分野依存性薬物の作用機序解明とその医療応用協力研究員）

遺伝子と全身麻酔の効き方のチェックをしています。
麻薬の痛みの鎮痛作用と遺伝子の関係ですね。
術後（1～2日）の急性痛はたいしたことないのですが、1週間経つと慢性疼痛（とうつう）という扱いになります。
慢性疼痛とか、ガン性疼痛の除痛（じょつう）出来たらと思って。

「除痛」って単語、初めて聞きました。

痛みを山に例えると、高尾山のところが急性疼痛、慢性疼痛が富士山で、ガン性疼痛がエベレストくらいですね。

ガンは痛いんですね。

そうなんですね。
そこがうまくクリア出来て、山登りが出来たらいいなと思っています。
口腔外科で、下アゴが出ているのを下げる手術があるのですが、とても痛いんです。

どんな手術ですか？

下アゴの骨を切って、アゴを奥に下げるんです。
全身状態のいい健康な若者が、骨を切ってやる手術なのですが、とても痛いんです。
東京医科歯科でやっていて、そのチームから前出の研究所に行っているんです。

青木先生は、痛みのスペシャリストですね！何とか痛みを除けないか？いう事を研究しているのですね？

はい。
PCAポンプ（Patient Controlled Analgesia日本語で「自己調節鎮痛法」）というのがあって、痛かったらスイッチを押すと医療用麻薬がロードされて流れる仕組みがあるんです。
自己除痛ができるんです。
患者さんが痛みのある時に、患者さん自身が操作して、安全かつ効果的な量の鎮痛剤をすぐに投与できる方法です。
どれくらい使ったか？で痛みの具合が分かります。
「遺伝子のデータ」と「使った量」の相関関係を調べているのですが、なかなか結果が出ないんです。
痛みは人によって違うんです。

それが解明されたら素晴らしいですね！ガンの方には朗報になるのですね。

ガンの方は、口腔内の粘膜をこすって、その粘膜からその遺伝子の配列（AGCT）を解析します。
それの1個の並び順を変えると呼んでくるタンパク質が変わって、アミノ酸の構造が変わり、急に麻薬とのくっつきの悪いレセプターになるはずなんですが。
一応わかっている遺伝子もあるんですが、僕が探している中ではヒットしないです。

遺伝子の配列・・・難しいことやっているんですね。先生は、研究者肌、且つ痛みのスペシャリストなのですね。そういう先生なら麻酔の効きが良くなります！

そう思っていただける嬉しいです。

なないろ歯科クリニックで、どんな治療をしたいと考えていますか？

麻酔の認定医が来ていることで、患者さんの安心安全につながれば嬉しいです。
実は、大学の医局に麻酔医を頼むと誰が来るか分からないんです。
でも、なないろ歯科なら僕が担当するので、安心してください。

インタビュー：2020/3/19